登山ガイドmountain stream guide santa

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今年のGWの遭難事故

今日、7月号の岳人と山渓を購入して来た。いつもは立ち読みで気に入った山行や記事があれば買うのだが、今回は、今年のGWの遭難事故がいづれも書かれており、同じ日に涸沢でテントに居た自分たちと、天候の変化などについて検証するつもりで記事を読み購入した。
先ずは白馬岳での遭難者6人のパーティは、当初の報道では軽装だった事が原因のような事が報道されたが、両冊子を読む限り、軽装どころか冬山装備の準備はしっかりされており遭難時点でもそれなりの重装備で発見されていたようだ。山登りを好む自分としては、この事で遭難した彼らに対しての思いも大きく変わる。
彼らが遭難に合った当日の朝は、我々は上高地から涸沢に向けて歩いた初日だ。記事に書かれている通り、朝は多少青空の除く曇り空だった。稜線では快晴であっても不思議では無い天気だ。急変したのは午後、我々が雨に打たれ始めて雨具を着たのが丁度お昼位、この頃雷鳥沢を登る彼らと出会った人はベテラン風の6人のパーティと出会った。と後から話されている。そのあと涸沢を目指す我々を襲う天気は13:30頃涸沢小屋のこいのぼりが目の前にさしかかるが、風が少し強くなるもののカールの中と言う事もあり、さほどでは無かった。
がこの頃稜線では強い風が吹きまくっていたようだ。
テントを設営し、小屋でビールを飲んだのが15:05、この時涸沢のカールも大粒の横殴りの雨に襲われていた。記事によれば同時刻の稜線は猛吹雪、視界は15メートルくらいだったらしい。テン場に戻り雨と風に打たれるテントの中で仲間たちと宴を楽しみうつらうつらして食事を済ませたのが18:30、この一時間前の17:40,稜線の彼らは家族を通して救助の要請をしていた。結局悪天候の為翌朝7:50に発見されるまで猛烈な暴吹雪の中で生き延びようと努力し、力尽きた。

同日、涸沢岳〜北穂目指して穂高岳山荘に向かった6人のパーティーも同じような時刻に吹雪に会い遭難した、が、もう直ぐで穂高岳山荘に…と言う場所で、涸沢岳とその向こうのオキダマのコルだったので山荘から夜の救助が行えたこと、山荘にたまたま医師が客として泊まっていて処置が適切に行われた事、結局一名の死亡で済み最初に低体温になって動けなくなった女性は小屋での処置のおかげで翌日にはすっかり回復していたようだ。夜の捜索は山荘のベテラン達、と云えども猛吹雪の中夜の11時まで行われたらしく、さらに小屋での治療、看病、処置は夜通し行われて結果があった様だ。

翌日奥穂高岳登頂後山荘手前の雪壁を降りる頃に見た、2台の大きなヘリコプターが救助して飛び立ったのはきっと彼らだろう。

いずれも我々はその遭難で大騒ぎのなか、強い風と雪のたたきつけるテントの中で翌日に向けてうつらうつら、眠りに就いていたわけで、


翌日の5日は何とか奥穂高も制覇し、なかなか厳しかったが、達成感、万感だ。


もう一日早い山行計画だったら我々はどうしただろう?
想定してみると
多分朝は出発したとして5:30には出かけていただろう、天気も良かった事だし、山頂に10時頃?下山を始める頃に丁度吹雪き始める頃だ。
穂高岳山荘で昼過ぎ、きっとこの頃は風も強く吹雪き始める頃だろう
そのまま下山で多分遅くても14時過ぎにはテントへ戻れたような?
もしかしたらそれほど困難な登山を強いられる事も無かったかも?

いづれも天気の結果を知った上での想定だけどね。


どちらにしても先の天気を見極め判断し、止める決断の出来る強い勇気を意識していないと、いづれわが身に起こっても何ら不思議では無いなぁ?
そう思うのです。


今日、仕事の途中で定光寺のお寺近くの展望のある公園へ立ち寄って来ました。
晴れれば名古屋の駅前のタワーが一望だね。